Programs in Peril (日本語)

日本語講座を守ろう!
日本語講座の存続に向けて教師ができる14のこと
(For English, click here)

 (Modified from the original document written by Madeline Uraneck and Paul Sandrock.)

 

まずは委員会を立ち上げ、出来ることから一つずつグループで取り組んで行きましょう!その方法や順序については、あなたの状況に合わせながら進めていきましょう。

 

1. 早め早めの対策が重要。プログラムの存続が危うくなってからではもう遅いのです。

日本語講座の廃止を防ぐ最善の方法は、なんと言っても質の高い授業を続けていくことです。受講生が減少する兆候が出てくる前から、早め早めに事前の対策をとっていきましょう。より良い日本語講座を構築していくために、ぜひ以下のチェックリストを参考にしてみて下さい。

あなたをサポートしてくれる日本語教育のネットワークを築きましょう。

  • あなたは日本語教師会に入っていますか? あなたは日本語教育のカンファレンスやワークショップに参加して、自己研鑽に努めていますか? 或いはそういったカンファレンスやワークショップで発表をしたり、パネリストになったりしていますか? 日本語教師会は、新しいネットワークを構築したり、同じ問題を抱える仲間同士で意見交換したりするには最適の場所です。
  • アドバイスを貰えるような先輩はいますか?必ずしも日本語教師である必要はなく、他言語や他分野を教えている教師でも構いませんので、経験豊富な先輩教師から色々とアドバイスをもらったり、自分が抱える問題を相談してみたりしましょう。
  • あなたの学校には外国語教育のDepartmentはありますか? もしなければ学校区全体でのWorld Language Departmentを作ってみたり、近隣の学校区と連携して、地域の外国語教師が一堂に会する機会を設けてみたりするのも良いでしょう。可能な範囲で自分のリソースやネットワークをどんどん増やしていきましょう。
  • 一般的な職員会議にも積極的に参加しましょう。他の主要教科の教師と自分は違うなどと遠慮する必要はありません。

学校区レベルでできること

  • あなたの学校区には日本語あるいは外国語のK-12の一貫した教育カリキュラムやガイドラインはありますか? もし無ければ学校区レベルでのプラン作成を働きかけてみましょう。
  • あなたの学校のフィーダースクール(中学校や小学校)には日本語講座がありますか?もし無ければ、新しく始めるよう働きかけてみましょう。

生徒たちの学びたいという意欲をかきたてる

  • あなたの日本語授業では、生徒たちが他教科(例えばSocial Studies, Music, Art, Theatre, Technology Education Class等)で学んでいる内容と結びつけたプロジェクトを行っていますか?
  • あなたは他教科の教師(例えばSocial Studies や他の外国語の教師)が実施しているアクティビティー(例えばCulture DayやUnited Nations Dayなど)に協力をしていますか? 自分が普段から他の教師と連携・協働していれば、自分が何かするときにも手を差し伸べてもらいやすくなります。
  • あなたの学校では、生徒のために訪日旅行を実施していますか?
  • あなたの学校には「アニメ・クラブ」や「ジャパン・クラブ」等、日本に関連したアフタースクールプログラムがありますか?こういった課外活動で日本文化の紹介を行っていると、生徒の日本語学習への関心喚起に繋がります。
    • あなたの学校はNational Foreign Language Week(3月)に参加していますか?

アドボカシー(日本語講座の広報)

  • コミュニティーへの働きかけ:生徒たちの活動内容や功績を地域のメディアに伝えていますか?また、なぜ外国語教育が大事なのか、あなたの州がどの程度海外に輸出をしているか等、記事にして送ったりしていますか?
  • 学校事務局への働きかけ:外部のグラントに申請して日本語講座のための資金調達の努力を見せたり、学校全体の功績や評判に繋がるような催し物(language-based sports programs, technology initiatives, video, international festivals, etc.)に積極的に関与したりしていますか?
  • 教育委員会への働きかけ:教育委員会へ毎年一度は出席し、日本語講座の活動内容や生徒によるプレゼンテーションを紹介したり、教育委員会に対する感謝の思いを伝えたりしていますか?(たとえば、教育委員会がInternational Student ProgramsやStudent Exchange Program等であなたの日本語講座をサポートしてくれているのであれば、それに対する謝辞を述べる等。)
  • 保護者に対する働きかけ(どういった協力をしてもらえばよいか?)
    保護者の方々やコミュニティーの人々に日本語クラスでヘルプをして頂く場合、日本語が話せる必要はありません。ご自身の海外旅行の思い出話や多文化交流のできるボランティア活動の体験談、或いは国際社会に関わる仕事をした経験談など、英語で生徒達に話して頂く機会を設けるのも良いでしょう。また、スナックを作って持って来て頂いたり、フィールドトリップ等の際に生徒達の送迎をお手伝い頂いたり、教室内で助けが必要な生徒の横に座って、宿題やワークシートなどを見て頂いたりするのも良い事ですね。ぜひ保護者の方々にも可能な範囲で日本語授業に参加してもらいましょう。
  • ニュースレター:あなたは自分の日本語クラスでの生徒達の活動内容について、定期的にニュースレター等を作って保護者の方々へ報告していますか?日本語のサマープログラムを紹介したりして、生徒達がGlobal Citizenになるための有益な情報をどんどんシェアーしましょう。
  • ソーシャルメディア:FacebookやTwitter等であなたの日本語講座を紹介していますか?更に情報や写真の発信を推し進め、地元の人々に最新の情報を提供しましょう。

 

2. 上手く行かなくても自分を責めないでください。

あなたは自分の日本語プログラムの普及の為に、日頃から様々なアドボカシー活動をされておられることでしょう。しかし、たとえ自分なりにどんなに一生懸命に努力をしたとしても、学校の予算や政策の影響など、皆さんがどうにもできない事情も色々と出てくるものです。そんな時にはどうぞ自分を責めないでください。

既にプログラムの廃止・縮小の案があがっている段階でその対策を講じはじめる、というのは色々と難しいことと思いますが、なるべく前向きにポジティブな気持ちで、できることから取り組んでいきましょう。噂話に翻弄されたり、誰かに敵対心を持ったりせず、落ち着いて行動し、悪い方に考えるような事のないように心がけましょう。自分を責めたり誰かのせいにしたりしないこと。誰のせいでも無いのです。

もしも議論がヒートアップして状況が悪化した場合には、保護者や生徒とのやり取りには注意が必要です。自分が次にどうすべきか、言動に移す前に、信頼できる第三者の意見を聞いてみましょう。単にあなた自身の職や講座を守るために助けを求めるのではなく、「生徒自身にとって何が最善か?」という生徒側の視点に立ってステークホルダーに説明してもらえるようなアドボカシー協力をお願いしましょう。

 

3. なぜ日本語講座の廃止・縮小が検討されているのか今一度よく考えてみましょう。

学校区がどのような手順で決定を下すのかプロセスを把握しておくことが大切です。まずは決定権を持つ運営事務局側のキーパーソンと面談を持ち、どのように保護者・生徒・教師達の意見を彼らに共有できるのか、どのタイミングで意思決定のための参考情報を提供できるのか等、詳細を確認しておきましょう。

そういった事務局側との面談の場では、相手側(学校区)が挙げている懸念点や問題点についてディスカッションをすると良いでしょう。例えば、予算難、受講者の減少、学校区内に外国語プログラムを設けることのメリット等。とにかくまずは相手側の意見に耳を傾けてください。

以下の点も参考にして頂きながら、日本語プログラム(外国語教育)の重要性を運営事務局の責任者に伝えましょう。これまでに学校区としてどれだけの予算を日本語プログラムへ注ぎ込んで頂いたかを説明しましょう。

  • 教師の育成
  • 生徒が達成したこと
  • 受け取った助成金
  • これまでに作成した教材
  • 学校が予算を費やしたテクノロジー
  • 姉妹校とのネットワーク
  • 日本語学習者の卒業後の実績
  • 地域社会への還元
  • 学校の名声を高めるのに役立ったこと

運営事務局に対して、今後あなたが日本語プログラムの関係者(保護者、生徒、コミュニティーのサポーター等)に意見を求める予定である事や、プログラムが廃止にならぬように彼らと連携して取り組んでいく予定であることを、事前にはっきりと伝えておきましょう。後々、日本語プログラムの関係者(保護者や生徒等)が運営事務局にいきなり働きかけて、驚かせることのないように注意しましょう。

 

4. しっかりと活動計画を立てましょう。

手遅れにならぬよう、早め早めにどういった対策をとるか、活動計画を立てましょう。"Action Plan Handout"を参考にしてみてください。

  • 目的は何ですか?
  • 目的を達成するために何ができますか?
  • いつ何をしますか?
  • だれがサポートできますか?
  • どんなサポートが役に立ちますか
  • どんなアドボカシーのリソースがありますか?

そのアドボカシー活動のプロセスにおいて、自分の精神状態を健全に保つことを忘れないようにしましょう。友達や家族と楽しく過ごしたり、リラックスしたり、リフレッシュしたりする機会を忘れずに作りましょう。

 

5. 自分がリーダーだと自覚してください。

時にアドボカシー活動はリスクも伴いますので、怖気づいてしまうこともあるかと思います。勇気が必要な状況では、例えば南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領や、マララ・ユスフザイさんをイメージしてみてください。あなたはこの挑戦に立ち向かうだけの価値のある人ですし、この挑戦はあなたの時間や体力を捧げるだけの価値のあるものです。

前を向き、胸を張ってください。あなたは自分のために講座を継続させようとしているのではなく、生徒達の国際人としての将来のため、将来この講座を受講する子供達のために頑張っているのです。

 

 

6. 常に活動の状況を生徒や保護者に伝えましょう。

アドボカシー活動の第一歩は、とにかく早い段階から生徒の保護者とコミュニケーションをとることです。メーリングリストやニュースレターを作り、子供達が外国語を学ぶことのメリットを理解してもらうように常に心がけましょう。生徒達の学習の進捗や、今後、日本語クラスで企画しているイベント等についても前もってシェアーしておきましょう。また、同じ情報をあなたの直属の上司にも伝え、常時、状況を把握しておいてもらいましょう。

たとえ危機的状況が悪くなっていたとしても、保護者との連絡時には、決して感情的にならず、客観的に事実のみ(重要な日時や場所等)を伝えましょう。日本語プログラムの存続に向けてどういったアドボカシー活動に関与していくかは、それぞれ保護者の方々の判断に任せましょう。

生徒達に対しても同じように、常に日本語に関する有益な情報(International job fairs, Foreign Language Week, International Education Week等)を共有して、関心があれば積極的に参加できるようにしてあげましょう。こうした催し物への参加は、生徒達にとっても日頃の学習成果を発揮できる貴重な機会となりますし、日本語プログラムの良い広報の機会にもなります。

学校区の方針や前例を調べましょう。学校区によっては、教師が直接保護者に働きかけることを禁じている場合もあります。

 

7. 他の教師にも協力してもらいましょう。

他言語の教師にも相談しましょう。外国語プログラムが廃止になることのメリット・デメリットを率直に議論しましょう。彼らの意見に耳を傾け、彼らの支援も得られるように努めましょう。また、小学校や中学校等、他の学校の教師にも相談しながら、プログラムの存続に向けて連携しましょう。

 

8. 州レベルの教育機関のコンサルタントにも状況を伝えましょう。

あなたの学校(NADSFL)州(NCSSFL)にはおそらく外国語教育の責任者がいるはずですので、相談をしてみましょう。日本語講座の存続に向けて、教育委員会や運営事務局に対してグローバル人材育成の大切さについて説明をしてくれるでしょう。

 

 

9. 日本関連や教育関連の団体と連絡を取りましょう

例えば:

  • あなたの地元の日本語教師会の会長が良いアドバイスをくれるかもしれません。
  • 州の外国語協会の推進者が教育委員会の会合で発言してくれるかもしれません。
  • Japan Foundation, Los Angelesがサポートレターを書いて応援します。お問い合わせ へメールをください。
  • 日本商工会からも何かサポートを受けられるかもしれません。
    • あなたの州または地域の日米協会が、あなたの学校イベントに協力をしてくれるかもしれません。

 

10. 教員組合に連絡しましょう

あなたが所属する教員組合の代表者に、日本語プログラムの状況についてアップデートしましょう。組合が具体的な支援をするかしないかに関わらず、現在の日本語プログラムの状況を知らせておくことで、組合側で何か別の案件が動いている場合に、2つが関連している可能性もあります。

 

 

11. 次回の教育委員会や役員会で議題に取り上げてもらいましょう。

以下のような方々にスピーカーとしての協力をお願いしたり、サポートレターを読んでもらったりしてみましょう。

  • 地元の日系企業で日本との取引が盛んな人
  • 州の教育担当官
  • 外国語プログラムを新しく始めた地元の小学校の校長先生
  • 日本語能力を活かして日本で働いたり、あるいはアメリカで日本語を使って仕事をしている方

非難をするのではなく、建設的な態度でポジティブに話しましょう。

外国語を学ぶことによる生徒自身のメリット、コミュニティーにもたらすメリット、学校区の評判という観点からのメリット等にフォーカスしながら話しましょう。Useful Resources Pageを参考にしてみてください。

プログラム廃止の正式な決定が下りるまでの時間が稼げるよう、例えば生徒達や親達にアンケートを取ることなどを提案してみましょう。例えばChange.orgなどのウェブサイトを使って生徒自身がペティションを始めるのも一案です。

 

12.  メディアを使いましょう

地元の新聞社やニュースサイトの記者、編集者に面会し、違った方法で現状を記事にすることも検討しましょう。
自分で原稿を起案しなければならない可能性もありますが、まずはメディアに話をして、掲載されるように働きかけてみましょう。

あなたが教育委員会に出席して発言をする際には、メディアにも出席してもらい、何が危機的状況にあるのかを明確に伝えてもらいましょう。地元の新聞社に日本語クラスの取材に来てもらうのも良いでしょう。新聞が時間を割いて取材に来てくれれば、記事を掲載してくれたり、続報を報道してくれたりする可能性が高くなります。

メディアとは新聞だけではありません。

学校の父兄会の回報や、教員組合の回報、教育団体のメーリングリストなどを活用する事も考えましょう。ターゲットを絞って支援を訴える方が、不特定の一般の人々に訴えるよりも効果的です。

 

13.  決定が覆ることもあります。

たとえ日本語プログラムの閉鎖を決定したとしても、その後、様々な関係者や団体から反対意見を耳にし始めた場合、考えを変える事もあります。プログラム廃止が避けられないよう見える状況でも、全てのリソース(保護者、教育団体、アドミニストレーター、メディアなど)を最後の最後まで模索し、どういったアクションを起こせるか、諦めずに検討しましょう。

 

 

14.  ひとつの機会が失われたとしても、他の機会があります

廃止になるプログラムのことばかり考えて、不満を募らせていると、新しいチャンスを逃してしまう事になります。自分のプログラムが消えていく状況であっても、常に自信をもって前向きになりましょう。あなたを支援してくれた人々は皆、あなたをサポートし続けてくれて、新しいチャンスに導いてくれるでしょう。あなたが生徒のために強く信じて続けてきたアドボカシーは何事にも代えがたい成果なのです。

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